重電4社がガン治療用「量子メス」の開発に挑む。量子メスとは何なのか

2016年12月13日に量子科学技術研究開発機構と住友重機械工業、東芝、日立製作所、三菱電機の4社が「第5世代量子線がん治療装置の開発協力に関する包括的協定」を締結しました。

今回は量子メスが何なのかを簡単に解説してまいります。

量子メスとは何なのか

情報元の記事では「従来より小型な重粒子線がん治療装置」の事を量子メスとしています。

通常の外科手術で用いられる電気メス、超音波メス等とは違うものです。
重粒子線を用いてガン細胞を切り刻むことから「メス」という単語がつけられてると思われます。

「従来より小型」とついている通り、現在の重粒子線がん治療装置は非常に大きいものとなっています。
1993年に完成した放射線医学総合研究所にある装置は接地面積が120m×65mで、ほぼサッカー場と同じ大きさ。
2016年1月に重粒子線治療を開始した神奈川県立がんセンターでも接地面積が放医研の1/3くらいとのこと。つまり40m×21.6mくらいのサイズなので小型化が求められるのもわかります。(数値、施設名は東芝のてくのろじぃ解体新書より引用させていただきました)

この設置面積(864平方メートル)は小さめの食品スーパーの売り場面積と同じくらいの広さです。
もっと小型化しないと一般病院には設置できませんね。

何故設置面積が広いのか

重粒子線治療ではガンを破壊するために重粒子線を光速の70%まで加速する必要があります。
この加速するための距離を稼ぐために接地面積が必要になってきます。

冒頭に紹介した「第5世代量子線がん治療装置の開発協力に関する包括的協定」では10年かけて、装置を一般病院に設置できる10m×20mサイズまで小型化し、建設コストも数十億円にまで下げる事を目指しています。

重粒子線によるガン治療の利点(人間の場合)

人間の場合ですが、重粒子線によるガン治療は下記の利点があります。

  • 一回の施術時間が短い
  • ガン細胞にピンポイントで照射できるため、正常な細胞を傷つけにくい
  • 短期間での治療が可能

東芝のてくのろじぃ解体新書」「神奈川県立がんセンター重粒子線治療施設 重粒子線治療とは」より引用

動物に対しても上記と同様の効果が見込めて、将来的に重粒子線治療が獣医療にも導入されればガンで亡くなるペットも減るかもしれません。

情報元

がん治療用「量子メス」開発へ 量研機構と東芝、日立など協力-ITmedia ニュース

東芝・日立・三菱・住重、4社トップが手を組んだ 「超小型」重粒子線治療装置を共同開発-日経デジタルヘルス

てくのろじぃ解体新書 重粒子線治療システム-東芝

重粒子線治療とは-神奈川県立がんセンター重粒子線治療施設【i-ROCK】


現時点ではサイズ、導入費用の面で獣医療への導入は見込めませんが、何らかのブレイクスルーが見つかればと思います。